台風・窓の防災2026.09.03
窓ガラスに養生テープを貼れば、台風対策は済む。そう思われがちですが、テープは飛来物の衝突を止めるものではありません。窓を外側から守るシャッター・雨戸、割れても破片や開口が広がりにくい防災安全合わせガラス、室内への飛散を抑えるフィルムでは役割が違います。気象庁の速報では、2026年は9月1日までに台風が24個発生し、8月だけで10個でした。今の窓に何が足りないかを見分け、工事と直前の備えを混同しないことが出発点です。
気象庁「台風の平年値」によると、1991年から2020年までの30年平均で9月の台風発生数は5.0個、国内への接近数は3.3個、上陸数は1.0個。本土への接近数は1.9個で、月別では年間で最も多い値です。接近とは台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300km以内に入った場合を指します。
2026年は気象庁「台風の発生数[日本標準時基準]」が9月1日現在の速報値を公表しています。年間24個、うち8月は10個。速報値は後日変わる場合がありますが、9月初めに窓の備えを見直す理由としては十分です。
| 先に見る場所 | 起こり得ること | 最初の対応 |
|---|---|---|
| 庭・バルコニー | 植木鉢、物干し、収納用品が飛来物になる | 屋内へ移すか確実に固定する |
| 窓の外側 | 飛来物がガラスへ直接当たる | 雨戸・シャッターの有無と動作を確認する |
| ガラスとサッシ | 破損、脱落、破片の飛散が起きる | 種類、枠、シール、がたつきを調べる |
| 室内 | 割れた破片や雨風が入り込む | カーテンを閉め、窓から離れる場所を決める |
窓だけを見て終わらせず、飛ばす側になり得る物から先に片づける。この順番なら、自宅の窓だけでなく近隣への被害も減らせます。
窓対策は「当てない」「破片と開口を広げにくくする」「室内で身を守る」の三段階です。全部を同じ性能だと考えると、養生テープだけで十分だと思ったり、合わせガラスなら雨戸は不要だと決めつけたりします。
| 対策 | 主な役割 | 選ぶときの注意 |
|---|---|---|
| シャッター・雨戸 | ガラスの外側で飛来物を受ける | 製品ごとの耐風圧・耐衝撃性能、ロック、取付け下地を見る |
| 防災安全合わせガラス | 衝突時の貫通や破片の飛散、脱落を抑える | 中間膜のグレードと試験性能を証明書で見る |
| 飛散防止フィルム | ガラスが割れたときの破片飛散を抑える | 飛来物そのものやガラスの破損を防ぐ設備ではない |
| カーテン・窓から離れる | 室内にいる人が破片や飛来物を避ける | 設備の代わりではなく、接近時に重ねる行動 |
一般社団法人板硝子協会の「ガラスの選び方」は、風圧には耐風圧計算に基づく適切なガラス厚、飛来物には割れても破片が飛び散りにくい防災性能のある合わせガラス、という切り分けを示しています。ガラス名だけではなく、想定している力が何かを確認する必要があります。

後付けシャッターは、既存サッシを残したまま外壁側へボックスとガイドレールを取り付ける方式があります。窓上の空きだけを測って注文はできません。外壁の平らな取付け面、下地、ひさし、軒、配管、換気フード、戸袋、手すり、雨樋との干渉を現地で見ます。
ここは見積書で意外と抜けやすいところです。「シャッター一式」では、下地補強、配線、足場、防水処理、既存部材の撤去まで含むのか読めません。窓ごとに製品型番、性能、固定方法、付帯工事を分けてもらうと比較できます。
シャッターを閉めれば無条件に安全という意味でもありません。強風時に使える状態か、ロック方法は何か、製品が想定する風や飛来物の条件は何かを取扱説明書と性能資料で確かめます。一般社団法人日本サッシ協会の「安全にお使いいただくために」にも、窓やドアの台風・暴風雨時の備えが掲載されています。

既存の雨戸がある家では、交換の前に一枚ずつ引き出して最後まで閉めます。戸車の摩耗、レールの変形、戸袋内の詰まり、表面の腐食、錠のかかり、外れ止めを点検。閉まって見えても、端部が固定されず風であおられる状態では使えません。
台風直前になって初めて雨戸が動かない、と分かる家は珍しくありません。風が強くなってから外へ出て直すのは危険です。晴れている日に家族が実際に閉め、重さと手順を確かめてください。高齢者が一人で操作できない、毎回家具を動かさないと届かないなら、電動化や配置変更も検討対象になります。

合わせガラスは2枚のガラスの間に中間膜を挟み、熱と圧力で圧着したものです。割れても破片が中間膜に付着しやすいのが特徴ですが、すべての合わせガラスが同じ飛来物性能を持つわけではありません。板硝子協会は、台風による飛来物への対策として中間膜を厚くした「防災防犯グレード」を案内しています。
網入りガラス、強化ガラス、複層ガラス、防犯ガラスといった名称だけで決めず、暴風時の飛来物衝突試験、耐貫通性、中間膜の仕様、サッシへの納まりを製品資料で照合します。ガラスだけを高性能にしても、枠が適合しない、全周で支持されない、シーリングが劣化している、といった状態では計画どおりの性能になりません。
| 確認資料 | 読む項目 | 施工前に決めること |
|---|---|---|
| 製品仕様書 | ガラス構成、中間膜、対象寸法、試験性能 | 窓ごとの製品とサイズ |
| サッシ適合資料 | ガラス厚、のみ込み、支持方法 | ガラス交換か外窓交換か |
| 現地調査記録 | 枠の変形、腐食、がたつき、シール | 補修・交換範囲 |
| 性能証明書 | 製品型番、性能区分、発行者 | 補助制度への適合と保管方法 |
断熱や結露も同時に改善したい場合は、窓・サッシ交換と内窓の選び方も合わせて検討できます。内窓は室内側の断熱・防音に有効ですが、外側から来る飛来物を受け止めるシャッターとは役割が異なります。

分譲マンションでは、サッシ、窓ガラス、雨戸、外壁、バルコニーが共用部分として扱われることが多く、専用で使う窓でも個人判断では交換できません。国土交通省の「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」は、窓面格子・網戸・防犯雨戸・鎧戸などをサッシ取替え時に合わせて改修し、外観を保つため管理組合が統一仕様で取り付ける考え方を示しています。強風・暴風の飛来物に備える防災シャッターも選択肢です。
手続きの流れはマンションリフォームの管理組合申請にもまとめています。賃貸住宅では、所有者と管理会社の承諾、原状回復の条件が先です。
国土交通省などが実施する「みらいエコ住宅2026事業 防災性向上改修」では、JIS R 3109:2018に基づく試験で屋根瓦の破片相当以上の飛来物への安全性を確認した合わせガラスまたは合わせ複層ガラスを、全周支持のはめ込み構法で施工する工事が対象です。事務局へ登録された型番であることも条件になります。
| 改修方法 | 面積区分 | 2026年の補助額 |
|---|---|---|
| ガラス交換 | 大 1.4m²以上 | 1枚あたり21,600円 |
| ガラス交換 | 中 0.8m²以上1.4m²未満 | 1枚あたり14,400円 |
| ガラス交換 | 小 0.1m²以上0.8m²未満 | 1枚あたり8,400円 |
| 外窓交換 | 大 2.8m²以上 | 1か所あたり49,200円 |
| 外窓交換 | 中 1.6m²以上2.8m²未満 | 1か所あたり32,400円 |
| 外窓交換 | 小 0.2m²以上1.6m²未満 | 1か所あたり19,200円 |
防災性向上改修は附帯工事のため、開口部・外壁等の断熱改修やエコ住宅設備の設置といった必須工事との組み合わせが必要です。既存サッシと同数までの外窓交換が対象で、新しく増やす窓は対象外。断熱・防犯・防災の複数性能を満たしても補助額は重複せず、最も高い区分で計上します。
補助金を使うなら、最初の一枚は窓ガラスではなく工事前写真です。公式ページは申請する設置箇所ごとの工事前後写真と性能証明書を求め、工事前写真を忘れると交付を受けられないと明記しています。申請手続きの公式案内では、予約は遅くとも2026年11月16日、交付申請は遅くとも12月31日までですが、予算上限で早まる場合があります。制度は年度・自治体で変わるため最新情報は公式窓口で確認してください。
内閣府の「夏から秋に多発!!風水害から身を守ろう」は、風が強くなる前に窓・雨戸を施錠し、飛ばされそうな物を固定または屋内へ格納するよう案内しています。室内では飛散防止フィルム、カーテンやブラインドを閉める対策も挙げています。
風が強くなってから屋外作業を始めないこと。設備の修理や交換は平常時に行い、台風接近時は人が窓から離れる準備へ切り替えます。浸水や排水の対策は住宅の浸水対策リフォーム、屋根・外壁の点検は外壁・屋根のメンテナンス時期も参照できます。
養生テープは飛来物の衝突を止めるものではなく、ガラスが割れないことを保証しません。雨戸・シャッターで外側を守るか、飛来物衝突試験で性能を確認した防災安全合わせガラスを検討し、台風接近時はカーテンを閉めて窓から離れてください。
同じではありません。飛散防止フィルムは割れた破片の飛散を抑える対策で、防災安全合わせガラスは強靭な中間膜を挟み、飛来物への耐貫通性まで評価した製品があります。目的と試験性能を製品資料で確かめて選びます。
網入りガラスという名称だけでは、暴風時の飛来物に対する性能は判断できません。2026年の国の補助対象では、JIS R 3109:2018に基づく試験で安全性を確認した登録製品など、明確な条件が設けられています。製品ごとの性能証明を確認してください。
外壁の取付け面、窓上のスペース、ひさし・配管・戸袋との干渉、下地、窓寸法を現地調査できれば、後付けできる場合があります。電動式は電源経路も必要です。製品の設置条件を満たすか施工会社に確認してください。
サッシ、窓ガラス、外壁、バルコニーは共用部分として扱われることが多いため、個人判断で取り付けられません。管理規約を読み、管理組合か管理会社へ製品仕様・固定方法・色・工事範囲を提出して承認を得てください。
みらいエコ住宅2026事業では、登録された防災性能のある合わせガラス等へのガラス交換・外窓交換が対象になり得ます。ただし必須工事との組み合わせ、登録事業者、予算、期限などの要件があります。制度は年度・自治体で変わるため最新情報は公式窓口で確認してください。
迷ったら、まず家中の窓を一周し、雨戸・シャッターが今すぐ閉まるかだけ確かめてください。動かない窓、外側に守りがない大きな窓、庭やバルコニーから飛来物が当たりやすい窓が、改修の優先候補です。平常時に製品性能、取付け下地、ガラスとサッシの適合、マンションの規約まで確認し、台風が近づいたら屋外の物を片づけて窓から離れる。設備と行動を順番どおりに重ねることが、窓の防災になります。
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