工事準備2026.08.17
リフォームに建築確認申請が要るかどうかは、「建物の区分」「主要構造部に触るか」「その部位の過半か」の三つで決まります。先にこの結論を押さえておくと、2025年の法改正の話も整理しやすくなります。2025年4月1日以降、木造2階建て住宅などで主要構造部の過半を改修する大規模なリフォームは、着工前の建築確認手続が必要になりました。一方で、水回り設備の交換、手すりの設置、仕上げ材だけの改修のように、これまでどおり申請が要らない工事も多くあります。国土交通省の最新資料をもとに、必要・不要の判断基準と準備の流れを説明します。
改正建築基準法の施行で、木造2階建てや、木造平屋で延べ面積200㎡を超える建物は「新2号建築物」になりました。これらの建物で、建築基準法上の「大規模の修繕」または「大規模の模様替」に当たるリフォームをする場合、工事に着手する前に建築確認が必要です。
| 建物 | 区分 | 大規模改修 |
|---|---|---|
| 木造2階建て | 新2号 | 建築確認が必要 |
| 木造平屋・200㎡超 | 新2号 | 建築確認が必要 |
| 木造平屋・200㎡以下 | 新3号 | 大規模改修の確認は不要 |
ここでいう「不要」は、大規模の修繕・模様替に対する確認手続の整理です。増築、用途変更、防火地域等の条件、自治体の条例によって、別の手続が必要になることがあります。確認申請が不要でも、工事後の建物が建築基準法に適合していなければならない点は変わりません。

同じ「全面リフォーム」と呼んでいても、仕上げだけを更新する計画と、柱・梁・床組まで解体する計画では判断が変わります。まず、建物の規模と構造、既存の状態、工事範囲が分かる資料を揃えます。
| 資料 | 確認内容 | 見つからない場合 |
|---|---|---|
| 確認済証 | 当初の確認番号・用途・規模 | 所管行政庁へ台帳記載を照会 |
| 検査済証 | 完成時の検査履歴 | 現況調査の方法を建築士へ相談 |
| 確認図面 | 構造、床面積、高さ、配置 | 現況を実測して図面化 |
| 登記事項 | 用途、構造、床面積、築年 | 法務局で取得 |
| 改修履歴 | 増築・撤去・補強・設備更新 | 写真や見積書から整理 |
建物の資料と現況が一致しないなら、先に相違点を洗い出します。築年数に応じた点検場所はリフォーム時期と優先順位、要望と資料のまとめ方は打ち合わせチェックリストも参考にしてください。
木造2階建てだから必ず申請、床を半分解体するから必ず申請、という単純な話ではありません。主要構造部に当たる範囲と、分母に対する改修範囲の両方を図面で確かめます。判断が分かれそうな計画は、着工直前ではなく基本計画の段階で建築主事か指定確認検査機関に事前相談してください。

大規模の修繕・模様替に関係する主要構造部は、壁、柱、床、梁、屋根、階段です。国土交通省の事例集では、過半を次の単位で判断すると整理されています。
| 部位 | 過半の分母 | 除外例 |
|---|---|---|
| 壁 | 壁の総面積 | 構造上重要でない間仕切壁 |
| 柱 | 柱の総本数 | 間柱、付け柱 |
| 梁 | 梁の総本数 | 小梁、ひさし |
| 床 | 総水平投影面積 | 最下階の床、揚げ床 |
| 屋根 | 総水平投影面積 | 仕上げ材だけの交換 |
| 階段 | 各階の階段総数 | 局部的な小階段、屋外階段 |
2026年3月時点の国土交通省Q&Aでは、1階だけを工事する場合でも、過半は1階だけでなく建築物全体の主要構造部に対する割合で判断すると示されています。また、在来軸組工法の木造一戸建てでは鉛直荷重を柱が負担するため、基本的に間仕切壁は「構造上重要でない間仕切壁」に当たり、主要構造部の壁は外壁と考えられる、という整理も示されています。
| 工事 | 対象範囲 | 判断例 |
|---|---|---|
| 屋根改修 | 垂木まで改修 | 屋根面積の過半なら必要 |
| 外壁改修 | 壁の主要な材まで改修 | 壁面積の過半なら必要 |
| 2階床改修 | 根太まで改修 | 床面積の過半なら必要 |
| 階段改修 | 階段を架け替え | 階段の過半なら必要 |
| 柱・梁改修 | 交換や大幅な改変 | 各総本数の過半なら必要 |
スケルトンリフォームや耐震補強を伴う全面改修では、複数の主要構造部に工事が及ぶ可能性があります。ただし工事の通称では決まらないので、解体する範囲、再利用する部材、新設する部分を図面の上で区別します。全面改修の計画全体についてはフルリフォームの進め方もご覧ください。
不要とされる例でも、工事の組み合わせ次第で主要構造部に及ぶことがあります。それに、申請が不要であることと、法適合が不要であることは別です。屋根のカバー工法で高さ制限に引っかかるなど、別の規定に合わない計画は認められません。工法の名前だけで判断しないでください。

| 部位 | 不要例 | 要検討例 |
|---|---|---|
| 屋根 | 葺き材のみ、カバー工法 | 垂木まで過半を改修 |
| 外壁 | 仕上げ材のみ、カバー工法 | 主要な壁材まで過半を改修 |
| 床 | 仕上げの重ね張り | 根太まで過半を改修 |
| 階段 | 踏板への仕上げ重ね | 階段の過半を架け替え |
屋根の劣化状態と工法の選び方は屋根リフォームの工法比較にまとめています。既存部材をどこまで残せるかは、解体前の調査だけでは確定しないこともあります。追加変更が出たときの申請・設計対応を、契約前に確認しておいてください。

確認申請には一定の審査期間がかかります。現況調査や構造検討、事前相談も含めて、着工したい日から逆算して余裕を持たせてください。工事の日程全体はリフォームの工期と仮住まいも確認してください。
建てたときは適法だったものの、その後の法改正で今の規定に合わなくなった建物を「既存不適格建築物」と呼びます。確認申請を伴う改修だからといって、常に建物全体を現行基準に直さなければならないわけではなく、工事内容に応じた緩和措置があります。一方、無断増築のように当初から法令に合っていない部分は、既存不適格とは扱いが違います。
国土交通省は、増築・改築・大規模の修繕等を行う既存建築物について、建築士が法適合の状況を調べる「既存建築物の現況調査ガイドライン」を公開しています。検査済証や図面が見つからない場合も、契約前に現況調査の範囲、追加調査、是正が必要になった場合の対応を確認してください。
申請や調査を誰が担当し、追加対応をどう合意するかは、見積書と契約書に書いておきます。書類の確認方法はリフォーム契約のトラブル防止、完成時の書類は完成検査チェックリストをご覧ください。
すべてではありません。主要構造部に当たる壁・柱・床・梁・屋根・階段のいずれかを改修し、その種類について建物全体の過半に及ぶ大規模の修繕・模様替に該当するかで決まります。水回り設備の交換だけといった工事は、通常この要件に当たりません。
国土交通省の事例集では、キッチン・トイレ・ユニットバスの交換は建築確認手続が不要な例として示されています。ただし、同時に柱・梁・床などに大きく手を加える計画は別に判断が必要です。
仕上げ材を重ねるカバー工法や、屋根葺き材だけの交換は、大規模の修繕・模様替に当たらず不要とされる例があります。一方、垂木まで改修し、その範囲が屋根の総水平投影面積の過半に及ぶ場合は、確認申請が必要になる例が示されています。
大規模の修繕・模様替については、新3号建築物となる木造平屋かつ延べ面積200平方メートル以下は確認申請不要とされています。ただし、増築・用途変更・地域指定など別の条件で手続が必要になることがあるので、計画ごとに確認してください。
書類がないというだけで、直ちに申請できないと決まるわけではありません。国土交通省の既存建築物の現況調査ガイドラインに沿って、建築士が現況や法適合の状況を調べる方法があります。必要な調査の範囲は、建物と工事計画で変わります。
いいえ。国土交通省は、確認手続が不要な場合でも、リフォーム後の建築物は建築基準法の規定に適合する必要があると案内しています。高さ、防火、採光、換気、構造など、計画に関係する規定を設計の段階で確認します。
まず、家の確認済証を探してください。建物の区分がそこで分かります。2025年4月以降、木造2階建てなどの新2号建築物で、壁・柱・床・梁・屋根・階段のいずれかを建物全体の過半にわたって改修する場合は、着工前の建築確認が必要です。水回りの交換、構造上重要でない間仕切壁、仕上げ材だけの改修、カバー工法などは不要例として示されています。建物区分、主要構造部、過半の3段階で判断し、どちらとも言えない計画は建築士と所管行政庁に早めに相談してください。
リフォームプラザでは、建築確認や現況調査を含めて相談できる地域の施工会社を比較できます。構造へ手を入れるリフォームを検討している方は、計画初期から対応可能な会社へご相談ください。